まず、ここだけ確認
家族を介護する従業員を支える中小企業向け
介護休業・働き方の調整・業務代替などを支援
休業前の面談と支援プランから準備する
目次 — この記事でわかること
「親の介護が必要になった」「通院の付き添いと勤務時間が重なる」。従業員からこうした相談を受けたとき、休み方や働き方を一緒に考えられる会社でありたいものです。
両立支援等助成金の介護離職防止支援コースは、家族の介護を担う従業員が仕事を続けられるよう、会社が行う支援を後押しする制度です。介護事業所だけに向けた制度ではありません。この記事では、従業員から相談を受けた会社が、支援の選び方と申請準備を理解できるよう整理します。
まず押さえたい3つのポイント
- 会社に支給する助成金です。従業員本人の介護休業給付とは手続きが異なります。
- 休業だけでなく、勤務時間などの調整や、周囲の従業員による業務代替も検討対象です。
- 「実際にどんな支援をしたか」を説明できる面談・計画・勤務等の記録が重要です。
制度の概要と申請窓口は厚生労働省の案内で確認できます。
どんな会社・場面で検討する?
主な対象は、支給要件を満たす中小企業事業主です。会社の規模だけでなく、対象者の雇用保険加入、介護の対象家族、社内制度、実際の利用状況などを確認します。
たとえば次のような場面です。以下は相談場面の例であり、受給できると判定した事例ではありません。
| 従業員・職場の状況 | 最初に整理したいこと |
|---|---|
| 家族の退院に合わせて、まとまった期間を休みたい | 休業予定と引継ぎ、復帰後の働き方 |
| 朝夕の介護があり、通常の勤務時間では続けにくい | 時差出勤・短時間勤務など、本人が希望する調整 |
| 休業する人の仕事を同僚が引き受ける | 代替する仕事、担当者、手当などの扱い |
| 通院の付き添いで、勤務の途中に短時間抜ける必要がある | 時間単位の休暇と社内制度の整備状況 |
助成金に合わせて休ませ方を決めるのではなく、本人の希望と仕事の実情を先に整理します。そのうえで、会社が行う支援と制度の条件を照合しましょう。
どの支援で、いくら助成される?
2026年4月8日改正の支給要領に基づく主な区分です。加算や人数上限、併給調整は別途確認が必要で、表の金額をすべて足した額が支給されるわけではありません。
| 支援区分 | 主な助成額・区分 |
|---|---|
| 介護休業 | 40万円。所定労働日に対する休業日数が連続15日以上なら60万円 |
| 介護両立支援制度 | 1制度導入・1制度利用で20万円、2制度以上導入・1制度利用で25万円。対象制度の利用60日以上ではそれぞれ30万円・40万円。介護サービス費用補助はこの日数による増額の対象外 |
| 業務代替:新規雇用 | 20万円。連続15日以上の休業では30万円 |
| 業務代替:介護休業に伴う手当支給等 | 5万円。連続15日以上の休業では10万円 |
| 業務代替:短時間勤務に伴う手当支給等 | 3万円 |
| 介護休暇制度有給化支援 | 1事業主1回30万円。10日以上の有給休暇制度では50万円 |
出典:介護離職防止支援コース支給要領、0302a・0302b・0304c・0302d。金額だけでなく、その前に記載された各支給要件とセットで確認してください。
有給化支援は「休暇制度を作っただけ」では足りない
2026年4月8日以降の規定整備、所定の時間単位取得、10時間以上の利用実績などの要件があります。改定前の規定を確認できることや過去の受給状況も確認対象です。「10日分の有給制度を設ければ50万円」とだけ受け取らず、利用まで含めた条件を照合してください。支給要領0301d
「休業」と「働き方の調整」は分けて考える
まとまった休業が必要な時期と、勤務を続けながら時間を調整したい時期では、職場の対応も変わります。
面談では、現在困っていること、必要になりそうな期間、担当業務のうち自分で続けたい仕事、周囲に引き継ぎたい仕事を確認します。家族の状況が変わったときに再相談できる担当者も決めておくと、プランを見直しやすくなります。
「会社に在宅勤務制度があるから対象」「有給休暇を取ったから対象」とは判断できません。介護のための利用として、どの規定が適用され、どの記録で利用実績を確認するかを整理します。
介護休業の場合の、申請までの流れ
以下は介護休業区分の主な条件と期限です。他の区分に同じ日程を当てはめないでください。
相談・準備
面談と両立支援プラン、業務整理・引継ぎを準備
休業
所定労働日に対する連続5日以上の介護休業などの要件を確認
復帰
フォロー面談と復帰後の勤務を記録
継続雇用
休業終了後3か月以上の雇用・就業要件を確認
支給申請
休業終了日の翌日から起算して3か月が経過する日の翌日から2か月以内
審査・入金
審査の結果と振込案内を確認。申請日に入金される制度ではない
プランは原則休業前に作成しますが、支給要領には休業中の作成を認める場合もあります。休業終了後に面談やプランを作ればよい、という扱いではありません。すでに休業を始めている場合は、開始日・面談日・記録の状況を整理して早めに相談してください。支給要領0301a・0402a
日程を整理する例
社内の管理表には「相談日」「面談日」「プラン作成日」「休業開始・終了日」「復帰後の面談日」「申請期間」を別々の欄で持ちます。予定が変わった場合は、元の予定と変更後の日付を残します。これにより、担当者が変わっても何を確認済みか追いやすくなります。
この管理表は申請ステップからの準備提案で、行政の提出様式そのものではありません。
書類は「何を説明するためのものか」で整理する
| 確認したいこと | 整理しておく資料の例 |
|---|---|
| 会社にどの制度があるか | 就業規則・介護休業規程、関連する労使協定、周知の記録 |
| 本人とどんな支援を決めたか | 面談記録、仕事と介護の両立支援プラン |
| 休業・勤務の実績 | 申出書、出勤記録、賃金台帳等 |
| 業務をどう引き継いだか | 引継ぎ表、担当業務の一覧、対応した日付の記録 |
| 家族・対象者の条件 | 適用区分に応じて指定される確認資料 |
厚生労働省は面談シート兼用のプラン様式を公開しています。上表は準備のための整理で、正式な提出書類の全一覧ではありません。
申請前によくある疑問
介護をしている人がいれば、会社は受給できますか?
本人の状況に加え、会社の制度・支援・利用実績を確認します。「介護をしている」という事実だけでは判断できません。
急に休業が必要になった場合は?
まず本人の休業や働き方の相談に対応し、実施した面談・引継ぎなどの日時と内容を記録します。申請上の扱いは、その実際の経過に沿って確認します。後から日付を合わせるのではなく、残っている情報を整理することが出発点です。
いつ振り込まれますか?
申請できる時期と、審査を経て入金される時期は別です。代替要員や手当などの費用は、入金日が未確定でも会社が負担できるかを確認して計画します。
申請希望・相談の進め方
LINEカードの「申請希望」から、「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)申請希望」と送れます。
最初は、会社の業種・人数、希望する支援が休業か勤務調整か、開始予定または開始済みの日付、規程の有無を整理します。申請ステップで資料の不足と確認事項をまとめ、社労士による条件確認につなぎます。家族の詳しい病状などは、最初の希望メッセージに書かず、必要資料が決まってから所定の方法で提出してください。
この記事は2026年度の制度情報を整理したものです。取組を始めた日や制度改正によって適用条件が変わるため、本文中の公式資料と照合してください。
EDITOR / 編集
申請ステップ編集部対象条件・必要資料・申請日程を、企業の申請準備に沿って解説します。